【2014年参加】 香川大学 法学部 S.Tさん

私は五日間、四国新聞社にて新聞記者として新聞ができていく工程を体験した。内容は三日目を除いた日は取材から原稿の作成を行い、私達学生が無茶を言って三日目は原稿を実際の新聞にするための編集を行うことができた。
取材・原稿作成は高松市に密着した部門である市政クラブの方と一緒に活動した。市政とは文字通り、市が発表する情報を会見で入手するのはもちろん、市が知らないまたは隠している情報を事情に詳しい市民や市議員から取材によって入手する。また、高松市内で行われるイベントや地域活動の取材など様々な方面への取材も行う。そのため取材相手は小学生から市議会までと幅広く、活動範囲も広くじっとしていることはあまりなかった。
取材は四国新聞社としての立場を借りて取材を行うため、誰が相手でも緊張した。話を聞きながらメモを取り、そして質問をしていくことが難しく会話が止まってしまうこともあり大変だった。取材中は何が読み手にとって必要な情報なのかということを意識することや相手から情報を聞き出すためコミュニケーション能力が必要であることを改めて認識できた。同行した記者達は相手とは対等の意識をもって会話するという気持ちで取材をしているらしく、取材の際中は敬意を払いつつも気負うことなく楽しそうにしているのが印象的だった。
 そうやってせっかく知った情報も、限られた文字数の中ではやむを得ず削除することもあり、全部が記事として載るわけではない。しかしその一部分のために倍以上の情報を仕入れ、ベストな情報を読者に提供するという努力を目にすることができた。まさに「百聞は一見に如かず」といった感じでたくさんの情報に触れながら、本当に伝えたいことだけを伝えるのがこの記者の仕事なのだと実感した。

取材内容は基本的にその日のうちに原稿にするため、毎日新鮮な情報を取り扱うことになる。情報の新しさを保つために労働時間が不規則に変化していく大変さもあるが、日々変化していく情報を追いかけていき、いろんな人と接しながら仕事をやっていくことに魅力を感じた。

編集では、レイアウトや記事の見出しを担当する整理部を体験した。整理部は原稿の全体を把握し、記事の配置が読者にとって読みやすいように工夫するレイアウトや、限られた文字数の中で記事の内容を説明する見出しなど情報を整理する仕事である。特に見出しは語彙選びが難しく、話の要点を理解し全体を把握できる広い視野を磨いておく必要性を感じることができ、これからの生活でも意識していく必要性を感じた。

全体を通して、この仕事はその日のうちに片づけて次の日まで仕事を持ちこまない一日刻みの生活をしていると感じた。何日もかけて記事を作成することもあるが、基本的に取材した内容はその日のうちに原稿にする素早さと、記事の写真や文字に間違いがないかチェックして不適切な情報を流してしまわないようにする丁寧さである。また、発行された新聞に自分が関わった記事があると新聞が今まで以上に身近に感じることができ、人との関わりの中で作られる新聞により興味を持つようになった。